docomoの「ahamo」の破壊力、政府の要望がMVNOを減少させ寡占状態を強めるのでは

MMD研究所は「通信サービスの料金と容量に関する実態調査」の結果を発表しています。

毎月の携帯電話料金
契約中のデータ容量プラン
「楽天モバイル(MVNO)」はMVNOの中に含まれています。 
格安SIMはキャリアサブブランドのY!mobile、UQ mobileとMVNOを合計した名称とされています。
IIJ,OCN,LINEモバイルなどはMVNOとしてカウントされています。
2020年11月度 毎月の携帯電話料金平均8312円 格安SIMは4424円、MVNOは3771円

上記のようなデータから読み取れることとしては、
大容量通信プランに入っている人が多いが、実際は大容量の通信プランは必要としていないことだとおもいます。

キャリアの過剰利益に起因するのは、販売方法

大容量プランに入っているが、実際は大容量プランの通信量は必要のない利用者が多いという状況になっている理由としては、ドコモ、AU、ソフトバンクといった大手通信キャリアが運営する携帯ショップの販売店や販売代理店の販売方法が大きく起因しており、すこし極端な言い方になってしまいますが、ご高齢な方や情報リテラシーがあまり高くない方に、その方々が実際必要とする通信プランではなく、不相応な大容量プランを販売している状況にあるのだと思います。
通信プランだけでなく、オプションなどもセット販売されており、利用しないまま料金だけが支払われているという状況になっているケースも多いと思います。
利用しないのに大容量プランに加入しているユーザーが支払う高額な月額料金によってキャリア側は過剰とも言える利益につながる結果になっている状態だと言えると思います。
販売店や販売代理店も高額プランを売れば売るほど利益を得られる構造になっているため、店舗での契約をする場合はどうしても高額プランの契約に偏りがちです。

ドコモの新プランahamoはオンラインのみはリテラシーの低い人向けではない

ドコモの新料金プランはahamoは実店舗では取り扱わず、オンラインでのみ受け付け、新規契約は専用サイトで受け付けるようになっています。前述にもある通りの販売店や販売代理店に対する配慮であり、ドコモとしてもで現状のままの販売店や販売代理店から得られる大容量プランの利益を守るためだとおもいます。
ドコモが新料金「ahamo」発表 月額2980円で20GBで5分かけ放題 海外でも使える

利用しないのに大容量プランに加入しているユーザーが支払う高額な月額料金に得られる利益につながる結果は販売店や販売代理店を守りつつも、ahamoというサブブランドを立ち上げて、オンラインをメインに新しいチャンネルで販売をし、格安SIM事業者であるMVNOに乗り換えることができるような高いリテラシーや、KDDI、ソフトバンクはのサブブランドのUQモバイルやY!モバイルへの流出を抑えて、または、取り込んでしまうのが狙いだと思います。ahamoはとてつもない脅威の価格帯と品質だとおもいます。

政府はキャリアに指導すべきなのはプランではなく販売方法

政府はアクションプランを掲げ、携帯電話代金を下げるように努めており、それに応じる形で、ドコモ、KDDI、ソフトバンクはそれぞれ、プランを発表しています。
しかしながら、キャリアが過剰とも言われる利益を得られているのは、キャリアと販売店や販売代理店の販売方法と利益構造であり、政府に応える形のプランをつくるといっても、キャリアは公的な機関ではなく、営利企業であり、株主のために利益を最大化していく必要があるため、ドコモの場合はオンラインでのみで、利益を一番上げら得れる手段としての「必要のない人に大容量プランを販売する現状の販売店を使った販売方法」は変えず、隙間をうまくねらってリテラシーの高い利用者に向けてオンラインでサービスを提供し、KDDIやソフトバンクはへのサブブランドの流出を避け、ドコモに回線提供を受けているMVNOを潰してでも、利益をあげていこうという流れになってきていると思います。
回線提供を受けている格安SIM事業者が、回線提供元と同じ金額で品質を下げて戦えるわけはありません。

通信事業は寡占状態のため、大本であるキャリアが値下げをして、MVNOのシェアを奪っていってしまうと、市場が膠着してくる可能性はあります。

MVNOが減り、キャリアの寡占状態が強くなる

政府はアクションプランにおいて3つの柱を掲げています。

  1. 分かりやすく、納得感のある料金・サービスの実現
  2. 事業者間の公正な競争の促進
  3. 事業者間乗り換えの円滑化

2つ目の柱「事業者間の公正な競争を促進する」で、競争を通じて多様で魅力的なサービスを生み出すとし、格安スマホ会社が大手携帯電話会社に支払うデータ接続料を今年度から3年間で半分程度まで下げるほか、音声通話の回線を借りる料金についてもさらなる引き下げに向けて検証するとしています。

しかしながら、武田大臣がキャリアにも値下げを要求するような発言があり、そのことを反映したドコモは、値下げしたプランを作りました。
キャリア側も株主の利益最大化を命題とするため、販売方法をオンラインのみすることで、MVNOと同じ販売方法で、回線の品質がが劣るMVNOなどから利用者を奪っていくことが可能となります。
ahamoを提供するドコモはMVNOに卸す回線の価格よりも高額の単価で利用者を獲得できていく構造が生まれ、ドコモの利益は増え、MVNOは競争力を失っていくことになるのではないなと思います。
そうなると、市場をもっと寡占状態になってしまいます。
政府がメスを入れるのは、MVNOへの卸値やMVNOへの移行しやすさをもっと促進するべきだったのではないかと思いますし、キャリアとの競争ができる形にもっていくことも重要なのではないかと思います。

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