2020年3月より大手キャリアから5Gでの通信サービスがスタートしました。「5G」とは第5世代移動通信システムの略称で、スマートフォンなどの通信に用いられる通信規格のひとつです。Gとは「Generation」の頭文字をとったものであり、5世代目であることを表しています。
5Gは「高速・大容量」「低遅延」「多数端末との接続」という特徴を持っています。これらの特徴により、4K/8K高精細映像が配信が可能となったり、AR/VRを活用した高臨場感のある映像の送受信、自動運転サポートや遠隔医療などを実現し、様々なサービス、産業を革新すると期待されています。
今回はこの5Gについて解説したいと思います。
目次
5Gの周波数
2024年4月現在基地局はどんどんと増えてきています。しかしながら、5Gの特徴と言われる「高速・大容量」「低遅延」「多数端末との接続」での通信できようになっているとは言い難い状況です。
高周波数帯になればなるほどデータ量はたくさん運べるのですが、通信エリアが狭くなるため5Gの基地局は現在主流である4Gよりも多く必要となります。
間違いなく主流となる通信規格になっていくことは間違い有りません。
電波を道路と例えると、使用する人が多いと、混雑するのと同じように、電波の通り道である周波数対も同じように利用者が多いと通信速度が遅くなるという特性をもっています。
周波数帯は、総務省からキャリアごとにそれぞれ割り当てられています。
5Gの周波数帯としては「ミリ波」と「Sub6」の二つに分けられます。現在発売されている5G対応のスマートフォンは「ミリ波」と「Sub6」の両方に対応する機種と「Sub6」のみに対応する機種に分かれいたり、すこし複雑です。
これらの5Gの周波数はどう違うのか、それぞれの特徴について、今後について解説していきたいと思います。
サブ6は3.6GHz~6GHz未満の帯域。
ミリ波は28GHz~300GHzを利用します。
「Sub6」とは?
Sub-6とは正式にはFR1(Frequency Range 1) と呼ばれ、
6GHz未満の比較的低い周波数帯を表します。電波の分類でいうと、『マイクロ波(UHF)』に属しています。
実質的に4G周波数の延長として利用することができるので幅広くエリアをカバーするのに適しています。
日本国内では「4.5GHz帯」と「3.7GHz帯」が割り当てられており、ドコモとKDDIが200MHz幅、ソフトバンクと楽天は100MHz幅を利用することとなっています。
「Sub6」のメリット
- 4G技術の転用ができる
- 電波が広域まで届く
- 障害物の影響を受けにくい
「Sub6」のメリットとしては既存技術からの応用が容易な点があります。
Sub6は、現在4Gで利用されている周波数帯域と近いことから、RF特性(周波数特性)に関する技術的な問題をクリアしやすく、実用化が早いというのがメリットとしてあります。
「Sub6」のデメリット
- 速度、同時接続において大きくミリ波に劣る
デメリットとしては周波数帯域が3.6GHz~6.0GHzと狭いため、4Gの時よりは早くなるけれどもそこまでの速度向上は見込めないところです。
「ミリ波」とは?
「ミリ波」とは周波数が28GHzから300GHz帯を表します。
日本では、n257と呼ばれる、26.50~29.50GHzの周波数帯が5Gに使用されます。厳密にはここは30GHz未満ですが、この周波数帯も「ミリ波」帯と呼称することがほとんどです。
「ミリ波」は、5Gに利用される周波数帯の中でも、超高周波に属しているので、真の5Gとしての高速通信はこのミリ波の恩恵をうけてこそ得られます。
特徴としては周波数が高いことですが周波数が高いほど電波は直進性が高く障害物に回り込む性質が弱くなります。水蒸気や雨により減衰しやすく幅広いエリアをカバーするには適しません。
ちなみ日本で発売されているAppleの最新型のiPhone 15シリーズもミリ波には対応していません。
iPhoneでは「高速・大容量」「低遅延」「多数端末との接続」ということは今のところ実現する土俵にも立ってない状況です。
「ミリ波」のメリット
- 超高速通信
- 超低遅延
- 多数同時接続
ミリ波のメリットとしては5Gの特徴で紹介されることそのものがミリ波のメリットでもあります。真の5Gという所以です。
「ミリ波」のデメリット
- 電波の届く範囲が狭い
- 障害物の影響を受けやすい
今利用している通信である4Gとは異なるRF特性を持っているおり、技術的な難易度が高のがデメリットでもあります。
「Sub6」と「ミリ波」の違い
Sub6 | ミリ波 | |
周波数 | 3.6GHz~6GHz(UHF) | 28GHz~300GHz(EHF) |
メリット |
|
|
デメリット | 速度、同時接続において大きくミリ波に劣る | 電波の届く範囲が狭い 障害物の影響を受けやすい |
Sub6とミリ波の違いというのは、周波数帯域の違いで、大雑把に違いをわけると以下のようにまとめられるとおもいます。
ミリ波は真の5Gである「超高速通信」「超低遅延」「多数同時接続」を実現する周波数帯
通信キャリアの対応
Sub6
BAND | 周波数 | 通信キャリア |
n77 | 3.6~3.7GHz | NTTドコモ |
n77 | 3.7~3.8GHz | au |
n77 | 3.8~3.9GHz | 楽天 |
n77 | 3.9~4.0GHz | ソフトバンク |
n77 | 4.0~4.1GHz | au |
n78 | 3.3~3.8GHz | NTTドコモ、au |
n79 | 4.5~4.6GHz | NTTドコモ |
どのキャリアもn77が使われており、docomoだけn79が使えます。
世界的に整備されているのはn78であり、n78はn77に含まれます。
ミリ波
BAND | 周波数 | 通信キャリア |
n257 | 27.00GHz~27.40GHz | 楽天 |
n257 | 27.40GHz~27.80GHz | NTTドコモ |
n257 | 27.80GHz~28.20GHz | au |
n257 | 29.10GHz~29.50GHz | ソフトバンク |
通信キャリア別の対応
Sub-6 | ミリ波 | ||
n77(n78内包) | n79 | n257(n258,n261内包) | |
NTTドコモ | ○ | ○ | ○ |
au | ○ | ○ | |
ソフトバンク | ○ | ○ | |
楽天 | ○ | ○ |
5Gに関してはどのキャリアもほぼ平等となっています。
まとめ
今回は5Gのsub6とミリ波についてまとめました。
真の5Gの通信ができるようになるには、ミリ波での通信ができる必要がありますが、技術的な課題や、高周波数ということもあり、現在の4Gのように通信ができるようになるまではもう少し時間がかかるものだとおもいます。5Gは4つのキャリアに平等に周波数帯がわりあてられていることもあり、後発の楽天も5Gでは戦っていけるため、4Gのようなキャリアのパワーバランスは変わってくるものだと思います。
2024年04月02日内容修正
2022年07月27日内容修正
2021年07月07日公開
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